優しいお花さん
「君はこの地下世界の新入りだね?」
フラウィーがゆらゆらと揺れながら尋ねてくる。そういえば、さっきもこの花は「地下世界」と言っていたなとぼんやりと思い出した。
「ね、ねぇ!ここって…地下、なの?」
「そうだよ!だって君はあそこから落ちてきたんだろう?」
フラウィーが葉で上を指差した。
こちらに降り注ぐ光。おそらくあれは、地上の光なのだろう。
「地下世界...本当にあったんだ」
歴史書で読んだことがある。昔ニンゲンとモンスターが戦争をし、負けたモンスターは地下の世界へと閉じ込められたーーと。
「ねぇ!君の名前は?」
「えっ?」
「だからぁ、君の名前さ」
「えっと、ぼくはフリスク」
よろしくね、と気を取り直して自己紹介をするニンゲンーーフリスク。
小さなもみじの手が花へ差し出される。
「うん、よろしくねフリスク」
だごその手を握り返すことなくフラウィーはただ笑うだけだった。
少しがっかりするフリスクだがフラウィーは特に気にすることなく「そうだ!」と声を上げた。
「君がこの暗い地下から出られるように手伝うよ!任せて!」
「えっ、いいの?」
「もっちろん!」
ニコッとフラウィーは笑うと、
パッと白い粒のようなものを数個出して
「これが見えるかい?」と目を細めたのだった。
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