目覚めた場所は
「う...ん?」
ふ、と何かが鼻に触れた。重い瞼をゆっくりと開ける。白い、何かだ。
それをぼぅっとしながら手で取り持ち上げる。軽い。羽根よりも軽いそれは、
「はな、びら...?」
柔らかな、白い花弁だった。いい香りもする。
だんだん頭が覚めてきた。
ゆっくりと起き上がると、
「なに、ここ」
辺りは黄金色の砂、砂、砂。
古めかしい石造りの壁。上を見上げれば眩い光が自分へと降り注いでいた。さらに視線を下へと移すと先程の花弁の持ち主であろう真っ白な美しい花が、郡を成して咲き乱れていたのだ。
「ハウディー!」
「えっ」
突如聴こえた愛らしい声色に驚き顔を上げた。
そこには、この花畑と同じであろう白く華奢な花がこちらを見ていたのだ。そう、見ていたのだ。
「は、花に目が..」
「ようこそ地下世界へ!僕はフラウィー。お花のフラウィーさ!」
「え、ふ、フラウィー?」
「そう!よろしくねニンゲン!」
戸惑うニンゲンに、フラウィーと名乗る花はゆらゆらと揺れながら話し掛けてきた。
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