ARABIATALE ーblog

Undertaleの自AUです。アラビアン(中東風)をイメージした世界観。貧富の差という事情を抱えるモンスター達と落ちてきたニンゲン、フリスクの物語のブログ小説です。

おまじない

「それって、なあに?」

きらきらと瞬くそれにフリスクは首を傾げるとフラウィーは「よくぞ聞いてくれました!」と可愛らしく笑った。


「これはね、僕からのLoveだよ!君がこの世界から無事出られるようにおまじないさっ」

「おまじない?」

相変わらずキョトンとするフリスクにフラウィーはニコニコと笑う。

「そう、おまじない」

「フ、フラウィー...?」

ただならぬ何かを感じ取り、フリスクは少し後ずさった。


「君のソウルにおまじないをかけるのさ」

「え、ソ、ソウル?なにそれ...!??


こ、これって...ハート?」


ふよふよと目の前に浮かぶ小さな赤いハートにフリスクは驚く。

「それがソウル。この地下世界でソウルはとても重要だよ?その人の【命】ともいえるからね」

「ソウル...いの、ち?


ね、ねぇフラウィー」

「さぁいくよ!このおまじないに触って!」

戸惑うフリスクに構わずふわっと白いそれが降り注がれた。

身の危険を感じ逃げようとするも金色の海に足をとられその場で尻餅をついてしまう。


どうしよう、と顔を上げた瞬間。


突如痺れるような痛みが走った。

「ーーーーっっ!??」


(痛いっ!?痛いっ…!!)

感じたことの無い痛みと、驚きと恐怖感に目に涙を浮かべうずくまる。




「ひゃはははははははははッッ!!!


ざぁあんねんでしたあぁあっ!教えてあげるよ!この世界はね…


〝騙すか騙されるか〟...そして〝殺るか殺られるか〟さ!!!」


フラウィーがけたけたと体を揺らしながら笑う。さっきまでの可愛らしい雰囲気とは大違いだ。


「ほら立ちなよ僕ちゃん!ひゃはははは!!」

砂の海から蔦が生えしゅるしゅるとフリスクの体に絡みついていく。無理矢理立たされた形になりフリスクはますます涙を溢れさせた。


「じゃあね僕ちゃん




ーーーーーー死ね」




先程の幾多の白い粒がフリスクへと投げられる。


殺される。死んじゃう。いやだ、たすけて。


「っあ...だ、やだ、やだぁっ!」





「やめなさいッッ!!」


刹那。女性の声が聴こえたのちにゴォオッと赤い焔が目の前を通過した。

それにより白い粒は一瞬で燃え散り、赤々とした焔にフリスクは目を奪われたのだった。

優しいお花さん

「君はこの地下世界の新入りだね?」

フラウィーがゆらゆらと揺れながら尋ねてくる。そういえば、さっきもこの花は「地下世界」と言っていたなとぼんやりと思い出した。


「ね、ねぇ!ここって…地下、なの?」

「そうだよ!だって君はあそこから落ちてきたんだろう?」

フラウィーが葉で上を指差した。

こちらに降り注ぐ光。おそらくあれは、地上の光なのだろう。


「地下世界...本当にあったんだ」

歴史書で読んだことがある。昔ニンゲンとモンスターが戦争をし、負けたモンスターは地下の世界へと閉じ込められたーーと。


「ねぇ!君の名前は?」

「えっ?」

「だからぁ、君の名前さ」

「えっと、ぼくはフリスク」


よろしくね、と気を取り直して自己紹介をするニンゲンーーフリスク。

小さなもみじの手が花へ差し出される。

「うん、よろしくねフリスク」

だごその手を握り返すことなくフラウィーはただ笑うだけだった。

少しがっかりするフリスクだがフラウィーは特に気にすることなく「そうだ!」と声を上げた。


「君がこの暗い地下から出られるように手伝うよ!任せて!」

「えっ、いいの?」

「もっちろん!」

ニコッとフラウィーは笑うと、


パッと白い粒のようなものを数個出して


「これが見えるかい?」と目を細めたのだった。

目覚めた場所は

「う...ん?」


ふ、と何かが鼻に触れた。重い瞼をゆっくりと開ける。白い、何かだ。

それをぼぅっとしながら手で取り持ち上げる。軽い。羽根よりも軽いそれは、


「はな、びら...?」

柔らかな、白い花弁だった。いい香りもする。

だんだん頭が覚めてきた。

ゆっくりと起き上がると、


「なに、ここ」


辺りは黄金色の砂、砂、砂。

古めかしい石造りの壁。上を見上げれば眩い光が自分へと降り注いでいた。さらに視線を下へと移すと先程の花弁の持ち主であろう真っ白な美しい花が、郡を成して咲き乱れていたのだ。






「ハウディー!」

「えっ」

突如聴こえた愛らしい声色に驚き顔を上げた。


そこには、この花畑と同じであろう白く華奢な花がこちらを見ていたのだ。そう、見ていたのだ。

「は、花に目が..」

「ようこそ地下世界へ!僕はフラウィー。お花のフラウィーさ!」

「え、ふ、フラウィー?」

「そう!よろしくねニンゲン!」


戸惑うニンゲンに、フラウィーと名乗る花はゆらゆらと揺れながら話し掛けてきた。